難病者の社会参加を考える研究会 オンライン報告会 冒頭プレゼン
昨日のオンライン報告会、お陰様で80名を超える方にご参加いただきました。
支援者、企業関係者、行政職員や議員らが半数を占め、当事者・ご家族のみならず、日頃、難病に縁のない方のご参加嬉しく思います。
難病者の働くを進めていくには、当事者目線だけではなく、関わり手の思いや不安も探っていければと思います。
私の発表が、ポンコツだったのでスライドと原稿を残しておきます。
以下当日の発表原稿です。
S3:写真
はじめに、私のことをお話します。
私は、20代半ばで脳脊髄液減少症という病気になりました。
ある日突然首が痛くなり、最初は原因がわからず、
いくつも病院を回り、診断までに9カ月掛かりました。
この画像は、最初に入院した時の検査画像です。
脊髄から髄液が漏れているのが確認でき、診断がつきました。
治らないまま、15年になります。
主な症状は、24時間・365日の痛みです。
こうしている今も痛みを感じているので、ソワソワして、落ち着きません。
痛みは目に見えず、伝わりにくいので、もどかしくなることもあります。
家族にも親しい人にも理解されず、絶望もします。
必要以上に心配を掛けても仕方ないので、
誰かといる時は、痛みを我慢して、平静を装っています。
常に自分を偽っているので、
自分が自分でない気がして、いつも自信がありません。
痛みが見えるとしたらこのような時です。
痛くても無理をして、働いていたら円形脱毛症になりました。
S4:4つの痛み
WHOによると痛みは4つに分類されます。
痛みやかゆみ、めまい、だるさなどの絶え間ない症状などの身体的苦痛
いつ治るか分からない、怒りっぽくなってしまうなどの心理的苦痛
役割がない、生活に困窮するといった社会的苦痛
このまま生きていて意味はあるのだろうか、といった存在的苦痛です。
これまで数百人の同病者や、線維筋痛症、筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群などの
類似疾患の方とやりとりしてきました。
皆さんの声をこれらの痛みの分類に当てはめると、このようにまとまりました。
私たちは、これらの中でも、
社会的苦痛の解消を目的に、就労に着目しています。
就労に着目する理由は、
選択肢が限られている難病者にとって、
就労が、社会と繋がりを得る身近な方法と考えるからです。
コロナ禍での働き方の変化、労働力不足なども、
多様な働くを後押ししているのではないでしょうか。
S5:社会の現状:難病者
病名が違っても困っていることは同じであったり、
逆に病名が同じでもニーズが違ったりします。
難病と一口に言っても、皆さんが思い浮かべる難病
国が定める指定難病、数千種もある希少疾患、
とくに定義のない研究途上の疾患であったりと多様です。
状況や制度で分類すると、図のように9つのグループに分けられました。
S6:社会の現状:制度
現在の法制度では、病名や区分ごとに対象を決めているため、
制度の狭間ができ、そこに取りこぼしが生まれます。
また社会の対応には、時間が掛かるので、
孤立している当事者は、この間、自助で乗り切るしかありません。
S7:ゴールへのステップ
病気なら療養したらいい、
治ってから働けばいい、と思われるかもしれません。
療養といっても、私の場合は、痛みが強いので
一日中、天井を見るだけの生活になりがちです。
今のところ治る見込みもないので、
ライフワークとしてこの活動を続けています。
続けると言っても、2時間無理をして
3日間起き上がれなくなるような働き方ですが、
それでも日常に変化があります
何もせずに、しんどいよりは
何かをして、しんどい方が
私は生きている気がします。
ビジョンの実現に向けて
私たちは、ここにあげた3つのゴールを設定しました。
1つ目のゴールは、障害者雇用促進法の対象者の拡大です。
今はこのアドボカシー活動を進めています。
2つ目のゴールは、孤立している難病者の就労機会を増やすことです。
病気の種類により、既存の社会制度の対象にならない方が大勢います。
例えば、雇用保険の加入条件や障害者雇用から外れてしまっていることで、
本人にも社会にも機会損失となっていることもあります。
本研究会に参加している支援団体や企業と、
難病者の就労事例作りも進めてきました。
3つ目のゴールは、誰もが自分らしい働き方を選択できる社会の仕組み作りです。
左の図は、現状を表しています。
制度の狭間で、取り残されている人たちがいます。
彼らが既存の制度の枠組みに含まれれば、
幾つかの痛みが解消されるかもしれません。
右の図は、先に述べた3つのゴールが達成された社会のイメージです。
皆保険のように、誰もが最低限の生活や就労機会を保障されるような
皆支援制度ができればと考えます。
これまで難病者の就労について話してきましたが、ビジョンが実現した社会では、
一人親家庭、介護離職者など、何かしらの制約がある人たちにも
同じように、就労の機会が向上し、安心して生活ができているのではないでしょうか。
「難病者の働くを考えることは、未来の働くを作ること」
そう私たちは信じて、活動を進めています。